新しい教育へ〜長澤佳則〜

教育コンサルタントとしての活動報告をしております

『キーエンス解剖』から見た「学校マネージメント」

平均年収が2200万円で、営業利益率がものすごく高い「キーエンス」。

原価の5倍の価格だけれども、商品がどんどん売れていくという仕組みが知りたく、『キーエンス解剖』という本を購入しました。

 

現在、私自身が学校に教材を販売していく企業さん向けにコンサルをやっているため、商品開発や営業方法のところに意識を向けて読んでいたのですが、、、

読み進めていく中で、キーエンスの仕組みや哲学が「学校という組織の改善につながる」という思いが強くなり、「学校組織の改革」にどう役立つかと言う目線で読んでいくようになりました。

 

以下では、本で紹介されているキーエンスの仕組みや哲学の一部を取り上げて、学校と比較してみようと思います!

 

※語尾が変わります

 

キーエンスの商品企画で大切にしていることは「引き算」。普通は競合の商品と比べて「~の機能もある」という「足し算」で商品を開発するが、キーエンスは「必要な機能や性能を絞り込みそこを徹底的に尖らせる」》

学校は足し算。教えなければいけないことが増える一方で、基本的には何も削らない。

・有名大学への進学率を上げるために放課後に補講を始める

・eスポーツが流行ってきたのでeスポーツ部を作る

このような新しいことを始めるからには、それらを担当する教員が必要になる。ただ、どの学校も新しい先生を雇うほどの資金的な余裕はなく、結果的に現在いる先生方に「追加」の負担を強いることで解決をしようとする。

果たして足し算をする前に引き算をすることはできないのだろうか。

部活動もなかなか廃部にすることができない。人気がなくなり部員があまりいないにも関わらず、未だに存続しているものがあったりする。なぜ廃部にできないのか。そこには伝統やOB、教員と繋がっている既得権益などがあるからである。

 

高等学校は、就学支援金制度により、子供たちがより多くの学校から選べるようになってきている。

だからこそ、それぞれの学校がより他校との差別化を図るために、削るところは削って特徴を出す必要があるのではないだろうか。

このように引き算的にやることで、専門学校をイメージする人もいるかと思うが、決してそうではなく、「今」または「これから」の世の中で必要とされる能力をしっかりと絞り込んだ上で、そこをとがらせて学校のウリにしていく。

今まさに学校の経営者に必要なことは、これからの世の中で必要となる能力が何であるかをしっかりととらえる力である。さらに、それをきちんと学校職員に説明をして、全員が同じ方向を向いて働いていけるように導いていく力も必要不可欠である。

 

《属人化を極力排除。「誰が言ったかではなく、何を言ったか」で評価してもらえるようにする》

学校現場は属人化がすごい。なぜそうなるか。学校の教員は、生徒からの人気が欲しいからである。とにかく生徒に自分のすごさや良さを認めてもらいたい。それゆえに、「同じ科目の他の先生よりも自分の方がスゴイ」というアピールを生徒に向けて無意識的にしてしまうこともある。授業力で勝てない場合は、生徒のご機嫌をとるために、多少の学校のルール違反を許容して、「優しい先生」を演じたりもする。

このような状況が続くと、教員は教員間で仮面を被るようになり、本音で話し合いをすることができなくなっていく。教員間で生徒からの評価に差ができ、生徒から「うちのクラス、A先生だから当たりだわ~。」「うちのクラスはB先生なんだけど。最悪。」といった話が聞こえてくるようになってしまう。果たしてこのような学校がよい学校なのだろうか。

属人化された環境を正していくためには、管理職に相当なマネジメントスキルが必要となってくる。横と縦の仕組みをしっかりと作って、足の引っ張り合いが絶対に起こらないようにしなければいけない。

 

《360度評価=マルチアセスメント。中間管理職をその上司が評価するだけでなく、部下も評価する手法。部下からも評価を受けることで、マネージャーが自分の立ち位置を理解して、リーダーとしての行動を律するためのもの。》

学校の教員は、生徒を評価をする一方で、自分が評価をされることを好まない傾向にある。組合が強い私立学校の中には、生徒から得た授業評価アンケートを用いて学校管理職が現場の教員を指導することができないという話も聞いたことがある。

「先生は評価をする人であって、評価を受けるものではない」というマインドの教員は多いように感じる。そのような考えがある限り、評価に対して真摯に向き合うことはできないし、クラスを導くリーダーとしての素質が磨かれていくことはない。

またそのような人たちが中間管理職である各主任、学校のトップである校長になっても、学校という組織を良い方向に導くことはできないであろう。

あらゆる角度からの評価に対して前向きに向き合うことのできる「考え方」や「態度」を教員に養成することが学校現場では急務である。

 

《私語禁止。でも活発にコミュニケーションがある。業務に必要のない無駄話はいらない》

学校管理職のマネージメント能力が低い学校ほど、教員の無駄話が多いように感じられる。

噂好きの教員は、空き時間に話しかけやすい教員を捕まえては、他の教員の批判を絶えず行なっている。当の本人からしてみれば、無駄話をしているつもりはないであろう。しかしながら、その批判の中身が妥当なもので、その会話が意味のあるものと言い張るのであれば、しかるべきところに報告をして、批判対象となっている人が成長できるようにしなければいけない。

「忙しい」、「大変だ」と言っている人ほど無駄話が多い。

すでに触れたキーエンスの「360度評価」のような制度を作り、それを徹底的に落とし込めれば、他者からもらった評価をもとに、教員は普段の言動を見つめ直す機会を得ることができると思う。そうすれば、教員の私語も減るだろう。

 

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終わりに。

正直に言いますと、自分のことを棚に上げて、上記のようなことを書いています。

私自身、教員時代に私語が多かったですし、「これは自分にしかできない!」というような属人化を促してしまうような働き方をしてきたなとすごく反省をしています。

この反省を活かして、様々な学校様の教育改革に携わっていけたらと思います。

 

 

反省と成長を大切に

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