前回の投稿から約2ヶ月が経ちました。
学校も1学期末のテストが終わり、終業式を迎えれば夏休みへと突入していきます。
さて今回は授業での動画の活用について書きたいと思います。
私は授業の進度調整の時に、生徒に動画を見せて感想文を書かせることがあります。
特に、NHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』は生徒の心に強く訴えかけるものが多くあり、教育的な動画としていくつか生徒に見せています。
最近、中学一年生に見せたものは、『プロフェッショナル仕事の流儀』で昔取り上げられた、小児心臓外科医の佐野俊二さんの動画です。
佐野さんは、3 割程度であった先天性心疾患/左心低形成症候群の生存率を、一気に9 割にまで引き上げた立役者であり、ゴットハンドを持つ医師として多くの患者や家族から求められています。
しかしそんな佐野さんでも、順風満帆な人生を送ってきたわけではなく、多くの苦しみを味わったそうです。
大学受験には失敗して、浪人。
30歳を超えても心臓手術をさせてもらえず、自分より年下の医師が活躍しているのを悔しい気持ちで見ていたとのことです。
しかしながら佐野さんは下を向かずに、謙虚な姿勢でありながらも大胆に行動しました。
世界的名医の弟子になるために海外へ行き、幾度となく断られても、受け入れてくれるまで何度も頭を下げながら弟子入りを志願しました。
変なプライドを持たずに、自分自身を磨こうと一生懸命に行動していく佐野さんは、まさに生徒が目指すべき姿です。
「ただ動画を見て終わり」とならないように、動画を見せる前に生徒達にはワークシートを配布しています。
動画を見ながらワークシート上段のメモ欄を書くように指示を出し、動画終了後にそのメモを見ながら、プロフェッショナルと呼ばれる人のものの考え方と自分の考え方を比較して感想文を5文以上書かせます。
生徒の感想文の中には、以下のようなものがありました。
「佐野さんは大学受験に失敗し、医師としての腕でもあまり上がらなかったのに、それでも自分はもっと上手になりたいんだという強い思いを胸に弟子入りし、努力をし続けていました。そんな佐野さんの姿から、努力は決して惜しんではいけない、あきらめてはいけないということを学びました。私は英語を一生懸命勉強しているつもりですが、確認テストではいつも不合格で、結果を見るたびにひどく落ち込みます。でもこの動画をみて、絶対にあきらめてはいけないと強く思いました。努力を続けて絶対に英語を得意科目にします!」
当たり前のことですが、動画を生徒に見せる際に気をつけなければいけないことは、その動画が生徒にどのような教育的な効果を与えるかです。
そのためには動画を見せるタイミングも重要です。
今回の「あきらめない精神」を伝えてくれる佐野さんの動画は、中学から英語を勉強し始めて「頑張っても英語はできない、英語は苦手」と感じてしまった中学一年生に大きな希望を与えてくれました。
いくら教育的に良い動画であっても、生徒がその動画を見る “準備” ができていなければ、効果は大きくありません。
良い教材をベストなタイミングで生徒に提供できるように、日々アンテナを張り巡らせながら、生徒の成長をサポートしていきたいと思います。
努力を惜しまず、謙虚でありながら大胆に
長澤