Fさん 慶應義塾大学 総合政策学部(定員150名)
AO入試(総合型選抜)合格 2020年4月入学
受験について
・1次選考:書類審査
・2次選考:面接
〇なぜ慶應義塾大学 総合政策学部を志望したのですか?
私が通っていた高校は偏差値50ぐらいでしたが、探究学習に力を入れている学校でした。私も高校1年生の時から探究学習を積極的に行っていました。探究学習の成果を発表するコンテストに高校1年生の時に出場させてもらい、全国大会で賞をいただくことができました。自然科学的なことを探究していたため、高校3年生の最初の頃は理系学部を目指そうかなと思っていましたが、自分自身が納得できる志望理由を理系大学に見出すことができませんでした。そのような状況で、自分自身を振り返ったときに、自分を成長させてくれた探究学習そのものを研究していきたいと思い、慶應義塾大学の総合政策学部にAO入試で挑戦することを決めました。
〇英語の資格は何か取得していましたか?
何も取得していません。
〇高校生の時にどのような活動をしていましたか?
とにかく探究活動に没頭していました。
高校1年生の時は、自宅で飲んでいた「地下水」と地元の家庭で栽培される「柿」を組み合わせて、柿の香り付きのミネラルウォーターを作るプロジェクトを行っていました。
まずは地下水を分析してみたかったので、水質を分析してくれる企業さんに協力をしてもらい、地元の地下水だけでなく、様々な水の分析をさせていただきました。
その後、地元の各家庭で栽培されている柿が高齢化によって収穫されずに鳥獣の被害にあうという社会問題をヒントに、「地下水×柿」という商品の開発に取り組みました。
その探究成果を持って、探究学習のコンテストに出場し、高校1年生で文部科学大臣賞をもらうことができました。
高校2年生になっても新しいプロジェクトを考えて探究活動を行い、いくつかのコンテストに出場しました。地元のビジネスコンテストにも参加して入賞しました。
高校3年生になってからは、コンテストの運営側に入り、主催者のお手伝いをしていました。
〇地元のビジネスコンテストでも「地下水と柿」をテーマにしたものを発表したのですか?
地元のビジネスコンテストでは全然違うものをテーマにして探究をしていました。野菜が嫌いで食べない子供に野菜の栄養成分をとらせるためにどうしたらいいかということを考えて発表しました。
〇「志望理由書」や「入学後の学習計画」ではどのようなことを意識しましたか?
理系の探究をしていた私が、どうして慶應義塾大学総合政策学部で学びたいのかを中心に書くようにしました。
自分の「好き」は理学的な実験や研究にあったのですが、自分が将来どのような形で社会貢献できるかを考えていったときに、学校教育でまだまだ課題がたくさんある「探究学習」に関する仕事をしていきたいと考えていました。私自身が探究学習を通じて、コミュニケーションスキルが上がったり、大人と対等に話せるスキルが身についたりしたので、これからの日本の教育ではこのような学びがより一層重要になってくると感じていました。
慶應義塾大学総合政策学部でなければいけない理由としては、3点書きました。
1点目は、最新の教育経済学が学べるからです。なぜ教育経済学を学びたいかというと、教育経済学の手法を用いて、探究学習で身につくスキルを誰もが評価できる「物差し」で数値化したいと思っていたからです。
当時私は、探究での学びが数値化されないから、探究学習が学校教育で重要視されていないと思っていました。教育を数値化する教育経済学の第一人者である中室牧子教授が慶應SFCに在籍しているということも志望理由の一つでした。
〇残り2つは何ですか?
2点目は、創造実践学を学びたいと書きました。将来自分が探究を生徒に教える立場になったときに、0から1を作り出すフェーズを教えることができるようになりたいと思っていました。
そして3点目が、「先導者としてのプロフェッショナルになる」というテーマを掲げている鈴木寛教授のもとで、探究教育の先導者になるための学びを得たいと思っていました。
〇合格に向けてどんな準備をしていましたか?
教育経済学や探究学習、深い学びに関する本や論文を多く読みました。論文は40本近く読んだと思います。
面接で、志望理由書や学習計画書に関する鋭い質問がくると思っていたので、知識やデータをしっかりと語ることができるように準備をしました。
〇面接はどうでしたか?
面接官が3人いたのですが、そのうちの一人が、探究活動を通じてたまたま知り合うことができた教授だったので、緊張せずに面接を行うことができました。
〇探究学習において大切なことは何だと思いますか?
主体性・協働性・学びの言語化だと思います。
私の場合ですが、自分の興味関心から探究をしていたので、主体的に取り組みをしていました。
協働性について、私は同年代の仲間と一緒に探究はしていませんでしたが、大人の方たちを巻き込んで、協働的に探究をしていました。
学びの言語化についてですが、仮説を立ててプロジェクトを進めていく中で、ほとんどの場合いい成果が出ずに終わってしまうことが多いのですが、失敗しておわりではなく、失敗から学べたことをしっかりと言語化することで次のステップへと繋げていくことができます。実際に高1の時に出場して賞をもらったコンテストでも、プロジェクトで思っていたような成果が出ていなかったですが、そこに至るプロセスやなぜ失敗してしまったのかを言語化することで、自分が将来性のあるプロジェクトに取り組んでいることを聴衆や審査員の方々に知ってもらい、それで評価を得たのだと思います。
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